2021.9.26採集記

僕は、いつもより少し早めに外へ出た。

鳥の鳴き声が聞こえる。

紫色の花には、いつも通り、イチモンジセセリが飛び回っている。

見た目は、茶色で地味かも知れぬが、その可憐な飛び方は、僕の目を釘付けにする。

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と、ふと、橙色の何者かが、目の前に突如現れる。

網で捕まえようと何回か試みるが、なかなか捕まえられぬ。

橙色の何者かが突如現れた。

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と、そこで、その何者かが、葉っぱに止まった。

“マダラヒメバチ”。

よく見かける蜂だが、いつ見ても お洒落な模様だなと思う。

おっと、今度は、黒い何者かが、目の前に突如現れる。

“トガリヒメバチ亜科の一種”。

いつか、トガリヒメバチ達を、ちゃんと種類まで同定せぬとあかぬな、と思っているのだが、今回はリリースした。

田んぼの脇へと向かう。

藪枯らし が生えている。

まず目に入るのは、アシナガバエ。

その身体が、太陽光を反射して、眩しいほどに 緑色に輝いている。

その奥に、何かいる。せわしなく、葉から葉へと飛び移る。

紛れもなく、ヤドリバエ(たきにー)である。

ただ、すぐに、奥の方へ行ってしまったので、捕まえることはできなかった。

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田んぼの脇を、歩いていく。

また、せわしなく飛ぶ ヤドリバエ(たきにー)を見つけた。

大きな目、複眼にびっしりと生えた黄色い毛、、腹部には 黒と白の綺麗な縞模様が描かれている。

セノメトピアだ。

見た感じ、おそらく、以前、捕まえた種と同じだろう、ということで、リリースした。

Senometopia属の一種 が現れた。

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その後 20分ほどは、ヤドリバエ(たきにー)を全く見つけられていない。

その日は、僕のテンションが低かった。

それ故に、僕の、「昆虫を探す 」が十分に動いていなかったのかも知れぬ。

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しかし、20分が経った時に、事は起きた。

僕は、蜜柑の木の下に行ってみた。地表付近は緑で覆われている。

ここで昆虫を探すのは、久しぶりだ。最近は、いつも、田んぼの脇で昆虫を探しているから。

僕は、蜜柑の木の下に行ってみた。地表付近は緑で覆われている。

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たくさんのセノメトピアが飛び回っているのに気づいた。本当にたくさんいる。。

しばらく、じーっと眺めていた。

そのとき、、

僕の視界に、見慣れない体型のハエが入ってきた。

僕はゆっくりと、そのハエに近づいた。

今だっ!

僕は網を振った。

網を見ると、中で、中型の細長い たきにー が動き回っている!

容器に入れてみる。

地味な黒い身体に、柔らかい黄色の部分が有る。

そして、その細長い脚からは、エレガントな印象を受ける。

(後で 調べてみたところ、Atylostoma属だとわかった。)

後で 調べてみたところ、Atylostoma属だとわかった。

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そして、次の瞬間、、

少し遠くに、大きめの身体で 脚の長い たきにー がいるのに気づいた。

その姿に見覚えがあった。

1ヶ月ほど前に、昆虫採集をしている僕の目の前に現れ ー そして、僕が網を振る前にものすごいスピードで消え去ってしまった 子 だ。

あれから、ずっと、正体が気になっていた。

今日こそは、捕まえるぞ。

そう思っていると、、、葉の影に隠れてしまった。

ちょっとずつ近づいていき、、、

ん?どこ行った?

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あっ、居たっ! 今だっ!

僕は網を振った。

いつもより網が若干重く感じられた。

僕は、たきにー が網の中に入ったことを確信した。

容器に入れて見てみる。。。

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「ね、、ねもらえあぁー。」

Nemoraea属は、初めて見た。

※家に帰ってから調べてみると、NemoraeaじゃなくてThelaira属だったことが判明しました。。

大きい体のわりには、小さい頭と細長い脚だ。

かなりスタイルが良い。

腹部には、橙色の模様が左右にある。

そこに、プルイノシティー(pruinosity)と呼ばれる、白い部分が、光り輝く。

見る角度によって、プルイノシティーが見えたり見えなかったりするのが、素晴らしい。

Thelaira nigripesと思われる。

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その後、Atylostomaさんを、さらにもう一匹採集し、

最初来た時のテンションの低さとは裏腹に、

嬉々として家に帰ったのであった。                (終)

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