下の写真にある ヒメバチの同定をしてみました。胸部前方が赤色で、後体節に白い紋がある綺麗な種類です。

ヒメバチの同定は、似た種がたくさんおり、非常に難しいのですが、(結論から言うと、)属まで同定することができました。
同定の際には、「web寄生蜂図鑑」というサイトにある検索表を使いました。
https://himebati.jimdofree.com/寄生蜂のリストと特徴-写真/ヒメバチ科-ichneumonidae/亜科への検索表/
まず、1。翅はあるので、2に行きます。前翅翅脈2m-cuはちゃんとあるので、5へ。翅は曇らず、小盾板にも突起はないので、次は6へ。

産卵管は産卵鞘に隠れていて見えませんでしたが、下方に曲がっているようではありませんでした。なので、次の7へ。前翅に鏡胞があり、産卵鞘が後体節に隠れていないので、次は8へ進みます。(鏡胞の位置は、上の写真を見てください)

明らかに、触角鞭節は13以上。次の9では、鏡胞が菱形でないこと、亜生殖板が大きくないことから、フタオヒメバチ亜科を除外。

次は、10。後体節第1背板が 柄を形成しているので、11に進みます。このハチは、後体節の幅が狭いアメバチ型とは違い、ヒメバチ型なので、20へ。

後脚脛節棘を見てみると……2本。

次は22です。この「頭盾と顔面との溝」ですが、顕微鏡で見てもよく分かりませんでした。そこで、違う方法で、チビアメバチ亜科を除外しました。
「鏡胞は閉じるか開き、閉じる際は三角形(五角形にはならない)」というチビアメバチ亜科の特徴を使いました。今 調べているハチは、鏡胞が閉じていて五角形です。それで、チビアメバチ亜科を除外しました。
次の23では、頭盾が強く隆起しておらず、体長5mm以下でないことから、24へ。頭盾前縁に剛毛の飾りはありません。それに、中胸盾板のnotaulusもそこまで明瞭でないので、25へ。

亜生殖板は全然大きくないので、次 26へ。
産卵鞘はあまり幅広くないので、27へと進みます。

鏡胞を持ち、後翅翅脈M+Cuもあまり曲がらず、頭盾は横から見ても平でした。
したがって、長い検索が終わりました。結局、「ヒメバチ亜科」となりました。
ここからの種までの検索表がないので、種まではわからないかもしれないと思いながら、「Image Database of Parasitoid wasps」でよく似たハチを探していると、見つけてしまいました。
Neotypus属です。日本に3種生息するようです。
・ツバメシジミセアカヒメバチ Neotypus nobilitator
・クロシジミセアカヒメバチ N. coreensis
・Neotypus taiwanus
(本州には生息しない)
「日本産ヒメバチ目録 Check list of Japanese Ichneumonidae」によると、
この属は、ツバメシジミ、シルビアシジミ、ヤマトシジミなどに寄生するそうです。